英会話講師が展開するシソーラス (Thesaurus) 的発想

英会話講師が展開するシソーラス (Thesaurus) 的発想

＊この記事は MyPace English (MPE) の英会話講師向け研修資料と講師との対話の一部を抜粋・編集したものです。

英会話講師デビューのチャンス！

英会話個人レッスンが他のレッスン形態と異なる点は実際の英語での会話が展開される – アウトプット・プラクティスがメインになること。

そして会話に使用される 英単語の質をどのように上げていくかが、個人レッスンの質を計る最大のポイントになります。

ニュアンス、正確性、説得力 – 英語のレトリック（修辞法）をパワーアップするために必須なのは シソーラス (Thesaurus) 的な発想です。

シソーラスの位置づけ：

１）　大脳 ⇒ 言語野 ⇒ スキーマ ⇒ シソーラス的発想
２）　英英辞典 ⇒ コーパス ⇒ シソーラス ⇒ 類義語辞典

シソーラス (thesaurus) ：　単語の上位 / 下位関係、部分 / 全体関係、同義関係、類義関係などによって単語を分類し、体系づけた類語辞典・辞書。
類義語辞典の一例：『ロジェ類語辞典』Roget’s Thesaurus of English Words and Phrases（英語語句宝典、1852、1911） – ピーター・マーク・ロジェ　　　(Wikipedia より）

＊ MPE では 語彙のデータベース化を類語・反意語を中心にまとめる情報処理作業と考えています。また、シソーラス的発想をものごとが発生するその流れの中（タイムライン）で使用する英単語を時系列順や帰納法・演繹法で整列する思考ツールとして捉えています。

英語力を活かせるお仕事。主婦向きです！

シソーラス的発想 – 12の英単語を整列する

会話のトピックスに併せ、関連するもっとも重要な 12 の英単語を整列することができるか？　この点から英会話講師の技量が判断できます。

１つのトピックに関し、12 の英単語 – この数字を基本とするのは 1) 関連用語 2) 原因 3) 状態 4) 結果 5) 反省・所感を強調したり、細かく説明するためには、一般的な ESL 学習者が知らない英単語が大体 12個位必要だからです。

ここでは先日の英会話個人レッスンで中級者（TOEIC 730位）の成人受講者の方が カバンのファスナーが壊れて困った話題 (Repairing a stuck zipper wasn’t as easy as I’d thought!) を英語で話した際展開した シソーラス的発想を紹介します。

ファスナーに関する語彙

名詞： fastener – zipper (A fastener is the main category and a zipper (zip fastener) is a type of fastener.)

部位の名詞： zipper slider, zipper teeth

基本動詞：　open / (close): keep it open – leave it open （ドアと共通）

状態：　jammed – stuck – crunch – caught （交通渋滞と共通）

状態（さらに詳しく）： clinch – snag on – misaligned

対処法： mesh – spread apart – ease out

壊れたファスナーを直す場面は想像しやすいと思います。そして上記の単語を使うと、その場面を（ある程度）忠実に英語で表現できます。

また、参考までに Thesaurus.net (https://www.thesaurus.net/) で、 Zipper の同類語・関連語を調べ、上記にない単語の代表例を下記に記します。

Thesaurus.net – zipper

fly, peg, fly front, zip up, seal up, flap, snap, unzip

英会話個人レッスンで主流となるのは英語でのフリーカンバセーション。　講師一個人のランダムな記憶を頼りにしていると内容が散漫になりがちです。　その意味でシソーラス的発想は重要単語の漏れを発見しやすい。

また、ここでの使用単語の一部は 交通渋滞の時 用いる単語と共通しています。 (jammed – stuck – crunch – caught) ファスナーの故障と交通渋滞 – 一見無関係に思える題材に共通点を見つける。こうした小さな発見が意味論を基本にした英会話個人レッスンではほぼ毎回起こります。

新たな気づきが連続すると英会話上達に欠かせない深い理解が生まれる – これは英会話個人レッスンならではの講師のやりがいです。